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演劇芸術家(卵)の修行日記

芸術としての人間模様とコミュニケーションについて。

悩むことの意味

大好きな友達、空間演出家の響くんに久しぶりに会った。響くんはフジロックサマソニなどの音楽イベントでのステージやエリア全体の空間演出をやっていたり、お祭りや野外フェスのデコレーションを生業としている。

響くんの作品(携帯だと見れない)

http://fotologue.jp/hibikibiki/

 

人としてもアーティストとしても敬愛する、自分のやりたいこと創りたいものでメシを食えている響くんだが、悩みはあると言っていた。

まず、仕事柄あたたかい季節にオファーが多いので、春夏秋が繁忙期で冬は閑散期らしく、今の季節は家にこもっての創作作業が多くなるらしい。しかも響くんは誰にもどこにも属さず一人で仕事をしているので、そうすると世の中からの疎外感を感じるのだと言う。先月舞台が終わり、現在就業もしていない僕はもちろん社会からの疎外感というか隔絶感をたっぷり味わっているところだが、まさか響くんがそんな風に感じているなんて驚きだった。春がくればまた仕事で忙しくなると分かっていても、そうなんだ、と。

そしてもっと本質的な悩みとして「今創っている作品が、今現在の自分の鏡になっていない」と言っていた。過去10年に創ってきた作品の延長線上にあってしまって、飛躍がない、と。ここ数年で、自分の創るものが世の中に求められる度合いがどんどん高まって仕事も増えてお金も入るようになったけど、作品自体がぐっと成長していない、と。「それは簡単に言うと、おもしろくない、ってことだよ」と。おもしろくなくはないけど、空間演出の仕事を始めた頃のような、毎回毎回の新鮮さや試行錯誤や、そういうものが今足りない、と。「積み重ねてきた経験がじゃまになってるの?」と聞くと、「そうとも言える」と言っていた。

ああ、アーティストは、みんな悩むんだな、って思った。何年何十年やっても、悩みが尽きることはないんだなと。本気でやっているアーティストは、多くがその活動でメシが食えれば、と夢見て、そこに辿り着くのは一握りなんだろうけど、アートでメシ食えるようになったって、また別の悩みがあるんだなあと思った。ま、そりゃそうで、芸術においての悩みは、本質的には食える食えないって話ではない。最高に素晴らしいものが創れるかどうか、って話だ。今の自分が、最高に素晴らしい芸術をやれるかどうか、って話だ。ちなみに僕はできてません。ちくしょう。

そこでちょっと自分を省みて、芸術生活における自分の悩みは何か?と洗い出してみた。

 

1.演劇芸術でメシ食えてないこと

2.観劇に値するレベルの俳優になるためにかなりの時間を要すること(最低でも10年?)

3.早く成長するために毎日でも稽古したいが、しばらくは月3日しか稽古がないこと。

4.自分がやっていることが世の中の役に立っていることの実感が持ちにくいこと。

 

1〜3はずっと思ってたことだが、4は今日はっと気づいた新発見だった。具体的に言うと、演劇によって日本社会がよりよくなったり、世界で飢えてる人とかが救われたりするのかなあ?ということである。芝居をやって、観た人が「おもしろかった!」とか「感動した!」とか言うのを聞くことはあっても、それがちゃんと社会とか世界にインパクトを及ぼしていくのか、その実感がない。

逆の例で言うと、昔ベンチャー起業時代にやっていた「20代と成長企業のマッチング」。「自分らしく働く20代が増えれば、日本は元気になる」というビジョンでやっていたのだが、その頃は「ウェブサイトの登録者が20万人突破した」とか「就職が決まった人数が100人超えた」とかそういう節目節目に、自分達のやっていることの効力感を感じる事ができた。

同じように先月の舞台を数字で見ると、「1000人の観客にブレヒトの芝居を観てもらうことができた」ということ。この芝居の上演の目的は「日本人が恐れを手放して自分自身を大胆に生きること」だった。それは果たして実現しているのだろうか?これからその効力が表れてくるのだろうか?

そういう大きなことは置いとくにしても、一番観てほしかった人にさほど喜んで楽しんでもらえたなかった、という事実が突き刺さる。これはエゴなんだろうか。集団芸術において、誰か個人に喜んでほしいとか望むのは間違いなんだろうか。でも自分の大切な人のためにすらならないなら、いったい誰のためにやるのだろう?先生や先輩は言う、「結果を求めちゃいけない」と。僕はよく分からない。

いずれにしても、突き詰めると自分の力不足、経験不足、努力不足、すべての不足に行き着く。歯がゆい。こんなブログ書いてて何か意味があるのだろうか。意味がないことはやっても意味がないから、もし意味がないなら早く分かって、書くのをやめたい。悩むために悩んでても仕方ない。何かの答えや気づき、行動につなげていこう。

もう朝の7時。お風呂をはったのに入ってない。お腹空いた。明日はクラムボン原田郁子ちゃんのライブ。つかれた。寝よう。