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演劇芸術家(卵)の修行日記

芸術としての人間模様とコミュニケーションについて。

今日の公演。ドストエフスキー「白痴」

今日は久しぶりにドストエフスキー「白痴」の舞台に立った。ユダヤ人のエリート役人の役、ガーニャ。金のために政略結婚しようとするが失敗し破滅していく役。

 

半年ぶりにやる役だったけど、前より落ち着いてやれた。ただどちらにしても、役のことを全然分かってないと、分かった。演出家アニシモフさんからも「役作りの方向性はいいから、もっと自分で色々役を創ってきなさい、あなたの役なんだから」と言われた。

 

今日の感想。舞台はやっぱりおもしろい。もっと舞台に立ちたい。もっと稽古したい。もっともっと芝居を追究したい。一人前の役者になりたい。共演者に刺激を与えられる存在になりたい。共演者のインスピレーションの源になりたい。戯曲に秘められた謎を、媒体として観客に伝えられる人になりたい。舞台上でもっと自由になりたい。もっと想像力を、蜜柑の果汁のように瑞々しいものにしたい。そして、もっと集中力を。

 

俳優修行の道はこれから50年くらいは続くのだろうと思う。一朝一夕には行かない。会社で仕事をしていた時は、2〜3年である程度のスキルを身につける事はできたけど、演劇芸術は・・・道のりが長い。時間軸のスパンが、、、長い。根気のいる仕事。辞めていく人も多い仕事。だからこそ、やり続けたいと思う。

 

子どもの頃の遊びのように、めいっぱい無邪気になりたい。鬼ごっこでギャハギャハなったり、ドッジボール泣くまでやったり、そう言う頃の、夢中になる感じ。演劇を、そんな風にやれたら、どんなに楽しいだろう。

事実、今いちばん面白い遊びだと言える、演劇は。他にこれほど面白いと思えることは、ない。アニシモフさんと遊ぶのは(稽古つけてもらうのは)信じられないくらい面白い。

 

今日の舞台前の稽古でアニシモフさんは言った。

「いい人になろうとしないで下さい。それはつまらない。心を熱くして下さい。温かく、ではなく熱く。憎悪であってもないよりはいい。とにかく、生きた心をもって舞台に上がって下さい。心というものを忘れた人達に、それを見せるのが私達の役割です。だから、生きた心を、熱い心を劇場に持ってきて下さい。それさえあれば、技術上のことその他すべてはその心についてきます。」

「そして信じるものを持ってください。何を信じるかは各々の自由、ただし何でもいい、本当に信じられるものを。その信念こそがエネルギーになります。」

「役者になんて、ならないで下さい。そんなものはこの世には必要ない。芸術家に、なって下さい。芸術家としての役者、それこそが舞台に必要なのです。」

 

アニシモフさんに師事して3年、いつもいつも金言をもらっている。アニシモフさんがいつか死んだあとも、きっといつまでも残っているような言葉達。きっと何百年も前から、人から人へ伝えられてきた言葉なんだと思う。僕はちゃんと受けとりたい。受けとって、次へ。そのためにも、今ちゃんと生きる事。

 

よし、がんばろう。