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演劇芸術家(卵)の修行日記

芸術としての人間模様とコミュニケーションについて。

世田谷/街の灯

東京に滞在する時にいつもステイさせてもらってる世田谷の近所に、すごく味のあるおじさんが30年以上やってる「街の灯」という半畳ほどの、味のあるクレープ屋さんがある。

 

おじさんは役者で、若い頃からずっと役者で、同時にそのクレープ屋さんを毎日午後3時になると開けていて、街の子ども達や学生や主婦の憩いの場となっている。そのクレープ屋さんに、久しぶりに顔を出した。

 

「お、久しぶり!芝居がんばってる?」

「こないだロシアで公演してきました、ものすごくいい感じです!」

 

いつ会っても超絶グッドバイブスなおじさんは、世界の至る所にいる、誰にも知られず世界を支えている偉人だ。

 

「蜷川さんも亡くなられたし、新しい世代ががんばらないとですね」

「蜷川さんと言えば、うちのクレープ屋に子どもの頃から通ってた子がいて、横田栄司っていうんだけど、蜷川さんとこでずいぶん世話になってたね」

「横田栄司さん、、なんか聞いたことあります」

「こいつなんだけどね(と言ってフライパンの脇に置いてある新聞を出す)」

「あっ!この人!10年くらい前に小栗旬が主演したカミュの”カリギュラ”に出てました!いい役者さんだなあと思ってすごい覚えてます」

 

 

アルベール・カミュの「カリギュラ」、10年くらい前に小栗旬がブレイクした頃に情熱大陸で舞台裏が撮られていて、気になりつつ観てなくて、半年くらい前にyoutubeで観た。人生で最悪の時期、自分のしょうもなさにブラックホールがあったら入りたいくらい参ってたときに観た。小栗旬、あんまり興味なかったのだけど、カリギュラの彼は正直凄くて、灰皿投げるので有名な蜷川さんが、一つもダメ出ししなかったらしい。その舞台でもう一人、いい味だしてたのが横田栄司さんだった。あとシン・ゴジラで主演した長谷川博己さんもいた。


熊本引っ越す前も僕はこの街に二年くらい住んでて、この街の、まさに街の灯であるクレープ屋さん、おじさんが若者だった頃に少年だった横田さんがおじさんに憧れてなのか俳優を志し、彼は大きな舞台に出演するようになり、その舞台に救われた自分がいて、今おじさんのクレープ(ミルキーチョコ)を食べていて、この世界はすごいなあ、と思う。中島みゆきの「糸」みたいだな。


僕もいつかあんなおじさんになりたいと思う。

 


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