演劇芸術家(卵)の修行日記

芸術としての人間模様とコミュニケーションについて。

春の夜の夢

奔走すると情熱がわきあがる。 表現するとインスピレーションがところてんに入ってくる。 歌うと腹が空く。 走るとぐっすり眠れる。 話せばもっと聴こえる。 男をつきつめて女になる。 働きかけるほどに、背骨に電流が走る。 踊らせるほどに細胞が沸騰する。 飛び跳ねれば空が近づく。 この身体がいちばん響くカタチ。曲線と振動。 四肢の角度。瞳孔の深み。 今日はフォルテッシモ。 切り裂くように叩き割るように。 筋肉を引き千切る。 血を蒸発させる。 強く強く。 もっと早く。もっと早く。見えないくらいに。 生も死も消え失せろ。 全てよ黙れ、鳴れ。 四本の弦を殴りつけろ。 火を飛ばせ。 この精神がいちばん響くカタチ。 昂揚と恍惚と地鳴り。 狂気。 山から降りるより前の姿。野に戻れ。 性を研ぎ澄ませ。 いちばんいい音。 上から七つめの脊椎が震えるかんじ。 火薬のにおい。 中心から見る打ち上げ花火。 彼女の眼球。 肉の味。 皮膚が蒸発する感触。 ぜんぶぜんぶ。 糞も精液も煮える腹わたも。 ぜんぶおまえ。 川の記憶も光の姿も。 いちばん汚らしい顔。 もっとも澄んだ目。 深い湖から、ゆっくり丁寧に掬いあげる。 おまえのカタチ。 鳴らしたい音。 勃つような振動。 静寂。 深い青の次に、薄桃色。 母親の腹の海。 書いて破り捨てる。 境界を突破する。 高い高い放物線で投げる夢。 スローで降り注ぐ光の雨。 蛍。 土踏まずと大地の感触。 論理。 対話。 精緻な道筋。 聡明さ。 錨、おもし、手綱。 実践。 目覚まし時計。 確かな記憶。 靴ひもを結ぶ手先。 牛乳の味。 人の温もり。 大切な友達。 義理と人情。 達成感と宴の夜。 正座。 深い呼吸。 論理。 物理。 数字の興奮。 バラエティー番組。 性欲だけで性交。 一番風呂。 ぬか漬け。 小二でついたあだ名。 ボケとツッコミ。 イタリア人の汗の匂い。 自動販売機。 ファンタグレープ。 ソープランド。 高円寺。 深津えり。 初恋。 冬の三ヵ月。 ヘレンケラー。 三都美人。 どきどき。 i-pod。 色鉛筆。 今日生まれた子供。 今日殺した女。 同時進行。 ちくたく、ちくたく。 現在進行形。 変化。 静かに劇的に。 すべてが同時進行。 どいつもこいつも。 やれやれ。 世話がやける。 そうこなくちゃな。 春も夏も秋も冬も。 太陽も雲も雨も。 白も黒も黄色も。 有機も無機も。 サンマもカツオも。 タケシもキヨシも。 同時進行。 どきどき。 どきどき。 どきどき。 日本史と世界史。 パン生地みたいな時間の性質。 銀河と太陽と地球。 陸と海。 京都と東京。 オカンと僕と僕の娘。 未来。 ずっと未来。 2009年4月4日。 22時32分。 高速道路。 深夜バス。 そしてやっと僕。 朝には鳥取。 夜はマチルダと踊る。 楽しみだな。 おやすみ。