演劇芸術家(卵)の修行日記

芸術としての人間模様とコミュニケーションについて。

2013-01-01から1年間の記事一覧

今日の公演。ドストエフスキー「白痴」

今日は久しぶりにドストエフスキー「白痴」の舞台に立った。ユダヤ人のエリート役人の役、ガーニャ。金のために政略結婚しようとするが失敗し破滅していく役。 半年ぶりにやる役だったけど、前より落ち着いてやれた。ただどちらにしても、役のことを全然分か…

日本唯一の"演劇芸術"学校、スタニスラフスキー・アカデミー

今秋始まった、日本で唯一の、芸術としての演劇学校「スタニスラフスキー・アカデミー」の仕事が楽しい。この学校は、ロシアで100年以上続いている伝統的な演劇術/演劇手法を教える学校で、ロシアの功労芸術家(人間国宝みたいなもの)であるレオニード・アニ…

黒子の俳優

今日の舞台公演、ドストエフスキー作「白痴」幕引き。僕は黒子で出演。いえ、黒子なので出演せず。「黒子のバスケ」って漫画の主人公はコートに立つけど、「黒子の俳優」は舞台に立ちません。しかしバスケと違って"コートの外"でなく"舞台の裏"から観る舞台…

10年目の幕が上がり、幕を閉じた。

風が吹いて、新緑の葉がこすれるような拍手の音。朝日が射すような。 今日の舞台、ブレヒト作「コーカサスの白墨の輪」の幕が閉じて、そんな拍手を浴びた。それはショーやエンタメや音楽ライブでは浴びない類いの拍手だった。 さっき、所属している劇団「東…

劇場という家、舞台という生活の場へ。

僕は故郷へ帰ってきた。 劇場という家、舞台という生活の場へ。 今日、我が劇団「東京ノーヴイ・レパートリーシアター」の記念すべき10thシーズンが始まった。演出家アニシモフさんが3ヶ月ぶりに来日し、明日からの公演のために稽古をした。 演目はドストエ…

ケータイを捨て、劇場へいこう。

演劇と、それを目撃する観客との関係は、まるで一人の人間と一人の人間との出会いのようであります。 それは人生と人生との出会いでもあります。 舞台に10人の俳優、10の役を見る時、観客は紛れもなく10の人生と出会う。100人の観客がそこにいるとき、僕たち…

春の夜の夢

奔走すると情熱がわきあがる。 表現するとインスピレーションがところてんに入ってくる。 歌うと腹が空く。 走るとぐっすり眠れる。 話せばもっと聴こえる。 男をつきつめて女になる。 働きかけるほどに、背骨に電流が走る。 踊らせるほどに細胞が沸騰する。…

未熟であること、未熟であること。

サローヤンの舞台「アレキサンドル・ドュマ以降のアメリカにおける詩の状況」の二日目が終わった。今日は病体押しての舞台で、開演1時間前に1000円の栄養ドリンク飲んだけどあんまり効かなかった。 身体が重いと、やっぱり演技も重い。軽さがすごく重要な役…

なぜどうして僕は舞台に辿り着いたか・・・

ドストエフスキーの「白痴」公演が終わった。密林の中でコンデンスミルクを2ℓ飲むような濃ゆい時間だった。実につかれた。 演出家アニシモフさんは今日の出来にはやや不満だったようだが、昨日の公演のことを打ち上げで大絶賛していた。「あんな芝居を観る…

真実のもつ治癒エネルギー

今日はドストエフスキー「白痴」の公演だった。 本番前の稽古で、アニシモフさんがチェーホフの妻、クニッペル・チェーホフの話をしてくれた。「彼女は『桜の園』のラネーフスカヤ役を45年間やった。飽くことなく、それは45年間植物のように成長し続けた。役…

ドストエフスキー「白痴」の稽古

明日からの舞台公演に向けて今日、劇場入りした。 今回は出番がないから気楽にいたら、急遽代役で稽古に上がることになった。しかも開始5分前に。勘弁してくれと思ったが、俳優修行としては有り難いことだ。 今回はドストエフスキー「白痴」の公演。「もっ…

サローヤン舞台初日を終えて

サローヤンの舞台「アレキサンドル・ドュマ以降のアメリカにおける詩の状況」の初日を終えた。 12月の稽古で上演延期を言い渡され創り直した芝居。作品世界を表現するために試行錯誤を繰り返した。パントマイムの要素を取り入れたり、一度は無声映画のように…

数ある芸術のなかで、なぜ演劇芸術を選んだのか?

って、考えて選んだわけじゃなく、出会ったってだけなのだけど、今日ふと思った。その答えは、 「ものすごくお金がかかる芸術だから」 じゃないだろうか、と。一つの側面としてね。 ミュージシャンが羨ましいな、と思う事がある。彼らは楽器一つ背負って、ス…

キャラクターの創造についてのフレームワーク(実験段階)

今日習った「キャラクターの創造」のメソッドにのっとって、過去に創った4つの役を振り返って、気づいたことを記す。 ①イワーノフ(チェーホフ作「イワーノフ」) 内的特徴:誠実さ、真摯さ 欠点:完璧主義、純粋さ、繊細さ 克服しようとしていること:依存…

役創りという仕事のおもしろさ、サローヤンの芝居の素晴らしさ

今日は、 僕の天職である『俳優』という職業がどれだけ面白く苦しく奥深く、今現在の僕がどれだけこの仕事を楽しんでいるか、という話を書きたいと思う。 今日はもう一つ、 天才と一緒に仕事をする職業がどれだけ面白く苦しく奥深く、今日時点での僕がどれだ…

家族ってなんぞや?

驚きの事実。Facebookでつながった人をカテゴリー分けする機能がある。僕のカテゴリーは、芸術家旅友達ビジネス関係コーチング仲間音楽仲間家族である。ちなみに最後の家族は、シェアハウスで同居していた友達をカテゴリーにいれている。今日前に住んでいた…

悩むことの意味

大好きな友達、空間演出家の響くんに久しぶりに会った。響くんはフジロックやサマソニなどの音楽イベントでのステージやエリア全体の空間演出をやっていたり、お祭りや野外フェスのデコレーションを生業としている。 響くんの作品(携帯だと見れない) http:/…

絶対不可侵領域。自分の魂だけの源。死んだキクが言っていた、世界はあるがままに美しいということ。夕陽が斜めに落ちていく。水面がひかりを映す。子供が凧上げをしている。雁が群れをなして青白い空を飛ぶ。枯れた花がくっつき虫になる。ギターの単音。向…

未熟すぎること

だめだ、頭デッカチだ。ここ最近書いてること、ただの思考、ただの論理だ。温度がない。大人。これはたぶん僕の悪いクセだ。 分かる事は、僕は技術と経験においてあまりにも未熟で無力であること。才能についても確信がないこと。不釣り合いなくらい使命感だ…

君が人生の時

今春やる芝居の作家、最も敬愛する劇作家ウィリアム・サローヤンの戯曲「君が人生の時」の前文を記す。 君が人生の時に、生きよ。そうすれば、やがて、その善き時の中に、君の人生にとりまた君の人生の触れる他の如何なる人生にとりても醜悪なるもの、死なる…

人間として生きること

アニシモフさんは俳優達に対して、舞台上では徹底的に人間であることを断固要求した。それはもう、首をしめあげるような恐ろしさと、張り裂けるような怒りと、実の子どもに対するような愛情でもって。 それを思うと、舞台の外でどれだけ人間として生きられて…

演劇習慣をつける

芝居の稽古や本番がない日々の中で、自主的に演劇芸術に関わる時間を作る。 まずはスタニスラフスキーの「俳優の仕事」を毎日少しでも読む習慣をつけようと思う。昨日今日は「想像力」についての章を読んだ。想像力は強いてはいけない。釣り糸を垂らして魚を…

年初めにとりあえず悩むことをやる

自分の人生の想定の範疇外の2013年が始まり、とりあえず悩む。 仕事とお金について、演劇と仕事について、演劇とお金について、だ。現状演劇で生活費を稼ぐことはできておらず、少なくとも短期的にそれは実現が相当難しい。となると演劇以外でお金を稼ぐ必要…